電気屋的、福島第1原発


大変な事になってしまいました。一刻の収束を願っています。


写真で見る、食い止め作業

 コメントはソース元の情報および知識を元にし嘘は書かないよう努力してますが、間違っている可能性があります。情報が少なすぎるのもあります。
また、私は原発廃止論者ではない事を先に申しておきます。この騒ぎの発端は経営上の失策および政治的なものと考えております。
写真は、注釈のない物は東京電力が公開したもの(通信社を経由した物も含む)を使用しています。
タイトルの通り、ここは写真がメインのページであり、サイトに転載や引用が可能な写真を掲載しつつ事象を扱う趣旨のページです。写真がない出来事は扱わない場合があります。


このコンテンツはニュース速報ではありません。写真が公開された2011年5月16日当時の情報により書かれた物です
現状と内容が大きく異なる場合があります。最新の情報はニュースやTVなどでお調べください。


   

5月16日のプレス発表による、電気設備の震災被害について編

5月16日、地震及び津波による電気設備の被害状況が公開されました。

東北地方太平洋沖地震発生以降の当社福島第一原子力発電所内外の電気設備の被害状況、外部電源の復旧状況等に係る記録に関する報告書の経済産業省への提出について
プレスリリース 2011年 - TEPCOニュース


タイトル長げーよ。
これらの資料を突っついて、被害の程度を見てみましょう。

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新福島変電所所内

地震による機器の被害及びしゃ断器の動作状況

関係する系統 機 器 名 被 害 内 容 所内しゃ断器動作
大熊線1L 断路器
計器用変圧器
避雷器
変形・ずれ
傾斜
傾斜
動作無し
発電所側の受電用しゃ断器がトリップ
大熊線2L 避雷器 傾斜 トリップ
(2011.03.11 14:48:21)
大熊線3L 架空地線
断路器
計器用変圧器(3L・4L共用?)
断線
ブレード離れ、支持碍子軸傾斜
傾斜
トリップ
(2011.03.11 14:48:19)
大熊線4L 引込鉄構(3L・4L共架) 傾斜 トリップ
(2011.03.11 14:48:34)
夜の森線1L 構内ケーブル付近
架空地線
断路器
地盤陥没
断線
変形・ずれ
トリップ
(2011.03.11 14:49:02)
夜の森線2L 構内ケーブル付近
断路器
地盤陥没
変形・ずれ
トリップ
(2011.03.11 14:48:28)
双葉線1L 架空地線 断線 情報無し
双葉線2L 断路器
変流器
碍子破損
碍子破損
情報無し
所内機器・
上記以外の系統
主要変圧器1号 付随避雷器亀裂、2台
   〃   転倒、1台
-
主要変圧器2号 2次側ブッシング漏油
主要変圧器3号 2次側ブッシング漏油
主要変圧器4号 2次側ブッシング漏油
V吊り碍子破損
しゃ断器 破損2機
付随避雷器転倒、1機
断路器(上記以外) 碍子破損、12箇所
フィンガー変形・ずれ、5箇所
変流器(上記以外) 破損4機(漏油・碍子破損など)
避雷器(上記以外) 傾斜1機
碍子破損1機
備考:地震発生時刻は2011年3月11日14時46分18秒。
双葉線は、送電機能のみを有するため、受電は出来ない。出典:東北地方太平洋沖地震に対する 原子力発電所の状況について・p.2 - 東京電力

新福島変電所は内陸部にあり、津波の被害とは無縁の場所ですが、もろに地震の被害を受けてしまい実質的に機能不全になってしまいました。
一覧を見ていると、碍子関係の損傷が特に目立ちます。揺れや移動にあまり追従できないのでどうしても被害が出がちです。
トランスのブッシング損傷は代表例です。以前、柏崎刈羽原子力発電所でも地震によりブッシング周りの破損被害が出ています。
また、のっぽな形状の機器、例をあげると避雷器・断路器・ブッシングの長い機器の被害が多いですね。重心が高いと揺れに弱いですから。

1Lを除く大熊線全線・夜の森線全線のしゃ断器がトリップしています。大熊線1Lは原発の開閉所にある受電用しゃ断器側がトリップしています。
つまり、全部の受電が途絶えている状態です。
時系列を見ると、地震発生後2分辺りから相次いでトリップしています。
今回の地震は、揺れの継続時間が今までにないほど非常に長く、通常の揺れ対策では長時間の揺れに耐えられなかった可能性があります。

14地点で強い揺れが2〜3分間続く…巨大地震(読売新聞)2011年3月25日
東日本巨大地震(マグニチュード=M=9・0)で震度5強以上を記録した気象庁の14観測点では、震度4以上の強い揺れが2〜3分間も続いていたことが同庁の解析で分かった。
過去の大きな地震と比べて倍以上も長い。震源域が長さ450キロ、幅200キロと極めて広く、プレート境界の岩盤の大きな破壊が約3分間にわたり、連続して起きたためとみられる。
震度4以上の揺れが約3分10秒と最も長かったのは、福島県いわき市小名浜の観測点(震度6弱)。青森県五戸町古舘(同5強)が約3分、仙台市宮城野区五輪(同6弱)が約2分50秒で続いた。
宮城県沖の震源から約400キロ離れた東京都千代田区の気象庁(同5強)でも約2分10秒だった。

写真編

大熊線・引込鉄構(3L・4L)の状況。

手前の鉄塔部分が目立って傾斜しています。


2011年3月11日撮影
夜の森線1Lの構内ケーブル状況。ケーブルヘッド立ち上げ部ですね。
地盤が部分的に陥没し、近くのケーブルトラフも大きく陥没しています。
ケーブルへのダメージについては記載なし。
見た目では損傷してるようには見えない。


2011年3月12日撮影
こちらは、夜の森線2Lの構内ケーブル状況。こちらもケーブルヘッド立ち上げ部です。
やはり、地面が大きく陥没しています。
ケーブルへのダメージに付いては記載なし。


2011年3月12日撮影
「主要変圧器2号」の、絶縁油の漏油状況。

2次側のブッシングからの漏れのようです。
地震で割れちゃったんだろうか。


2011年3月12日撮影
しゃ断器の損傷状況。(遮断機O-41 いわき幹線1L)

倒壊して粉々になっています。


2011年3月11日撮影
断路器の破損状況。(断路器210)
3段になっている長幹碍子の中間部分が破損し、欠落しています。

ここでは、断路器の損傷が特に目立ちます。


2011年3月12日撮影
こちらも断路器。(断路器S200)

支持碍子(三角錐のように取り付けられている部分の碍子)が全損。
周りに散乱しています。


2011年3月11日撮影
避雷器の破損状況。(岩井戸線2号・母線側)

揺れに負けたのか電線に引っ張られたのか、付け根あたりで折損してしまっています。
普段は碍子の中に隠れていて見えない素子部分が、剥き出しになってます。
左に見えるのが、正常なものです。


2011年3月12日撮影
送電線路(新福島変電所〜福島第一原子力発電所間)

送電線路の被害

系統 被害内容
夜の森線(1L・2L) 鉄塔倒壊(27号)

鉄塔が一基倒壊しています。
原因は、盛土部分の土砂崩れによるもの、と発表されています。
3月20日の項で倒壊した鉄塔の予測をしましたが、どうやら当たっていたようです。

福島原発の鉄塔倒壊、土砂崩れが原因 震災の揺れで(朝日新聞)2011年5月17日
東京電力は16日、福島第一原発へ電気を供給する鉄塔が倒壊したのは、東日本大震災の揺れで起きた土砂崩れが原因とする見解を発表した。
(中略)
東電が保安院に提出した報告書によると、倒壊した鉄塔は敷地西側にある。揺れで直接壊れてはいなかったものの、土台を含む盛り土が崩れて倒れていた。(後略)

倒壊した夜の森線・それと並行している双葉線共に、5・6号機専用の送電線路です。1〜4号とは独立しています。
そのうち、冷却(注水)の電源として使用するのは、倒壊した夜の森線の送電線です。5・6号機を冷却するには、どうしてもこの送電線路を復旧する必要があります。
唯一運転が継続できた6号機の発電機1台で冷却を行っていますが、いつまでもこれ1台だけに頼っている訳にいきません。

被害箇所の写真がいくつか公開されています。

倒壊した、夜の森線27号鉄塔。
根の部分以外に損傷らしいものは見られません。
腕も変形は見られません。


2011年3月18日撮影。
夜の森線27号鉄塔付近。
山の斜面部分が、地すべりのようになっています。

左に見える鉄塔が、倒壊した27号の代わりに夜の森線の電線を仮支持している双葉線2号鉄塔。
すぐ隣に健全な鉄塔があったのが、不幸中の幸いでした。
この鉄塔の側面を支持物として利用し、電線の張替えを実施。(→2011年3月20日の項
鉄塔倒壊という、本来なら復旧に長期を要する被害であったものの、3月20日には復旧工事および試充電が完了、21日(5号)・22日(6号)にそれぞれ受電を開始。
安定した電力供給を受けた5・6号機は、冷温状態で安定しています。


2011年4月12日撮影。
倒壊した場所周辺と、原因となった土砂崩れの範囲を説明する航空写真。
予想した部分通りでした。

夜の森線の66kVは、超高圧開閉所の南にくっ付いている小さい建物に引きこまれてるようですが、写真では確認できません。
(図ではそう書かれている)
これが66kVの受電場所かな。

一部のブログや掲示板が、写真公開日「5月16日」に倒壊したという誤報を飛ばしています。
本気にしないように。

追記:2011.06.05
開閉所の写真がありました。Flickrにアップロードされている、原発ツアー中で撮影された写真の中に写っていました。→こちら
66kVの、建屋への引き込みはこれで間違い無いようです。


2011年3月19日撮影。

他の鉄塔は健在で、所内電源復旧工事では既設の送電線路を利用する形で行われました。


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福島第一原子力発電所所内

1.開閉所の被害
(津波襲来後)

開 閉 所 状 態
名  称 受  電 関係号機
1/2号開閉所 ×損傷
受電不可能
1号機・
2号機
1L 大熊線1Lしゃ断器トリップ。(2011.03.11 14:48:19)
同しゃ断器、地震による被害。
2L 大熊線2L受電用しゃ断器、地震による被害。
   〃  断路器、地震による被害。
3/4号開閉所 ×損傷
受電不可能
3号機・
4号機
3L 大熊線3L受電用しゃ断器は、当時工事中。(被害は不明)
施設は冠水。
4L 大熊線4L受電用しゃ断器本体は外観上の損傷は無し。
ただし津波による冠水あり。制御盤類は冠水で損傷。
66kV東電原子力線(東北電力系統)受電部
(予備外部電源)
○可能 1〜4号機
受電設備には特に被害無し。
負荷側ケーブルが故障。
5/6号開閉所?
(名称分からず)
送電系統(双葉線1L・2L)開閉所
(名称分からず)
受電機能無し 5・6号機 建屋周囲は浸水。建屋内は不明。電源確保とは無関係の施設のためか、被害に関して発表は無し。
(送電機能のみを有するため、受電は出来ない)
66kV開閉所(夜の森線)
(起動用電源系統と思われる。
#1〜4群との母線連絡は無し)
△軽微な整備で可能
(要・冠水した一部機器の取替)
5・6号機 建屋周囲は浸水。建屋内は不明。
(浸水深さは5号機T/B海側地点で1m以下なので、山側最奥にある開閉所の被害はあまり無かったと思われる)
被害は軽微であったためか、送電線復旧とほぼ同時に使用再開、冷却用の電源を供給中。
備考:地震発生時刻は2011年3月11日14時46分18秒。

・・・地震の揺れによる損傷  ・・・津波による損傷

この部分は送電系統の情報は公開されていない。66kV部のみ公開。
「5/6号開閉所」は、こちらで便宜上付けた名称で、正式な名称は分かりません。

1・2号開閉所は高台にあり、津波の被害は無し。ただし地震により断路器・しゃ断器を中心に被害が発生しています。
残り二箇所の開閉所は、関係する発電所ビルと同じ路盤レベルに建てられている為、これらと同様に津波に襲われています。
ただし、5・6号機については、建てられた路盤が1〜4号よりも3mほど高く、このわずかな差が明暗を分ける結果となってしまいました。
5・6号機付近の敷地は浸水深さがわずか0〜1m程度であり、この浸水レベルは、とっくの昔に収束している福島第二原子力発電所での深さとほぼ同じか、むしろマシなほうです。
起こった事に対してifを語るべきではありませんが、もし1〜4号もこの程度の浸水であれば、今回のような悲劇は起きていなかったでしょう。

大熊線1Lのしゃ断器。(大熊線1L O-81)

1Lなので、丘の上にある、水没していない分ですね。
ぶっ壊れて部品が欠落しています。


2011年3月23日撮影
こちらは、大熊線2Lのしゃ断器。(大熊線2L O-82)
上のものと同じ建屋にあります。
たぶん、隣同士ですね。
こっちも破損してバラバラになり、部品が落下。

建物内が明るいのは、壁が破損して光が差し込んでいるからです。


2011年3月23日撮影
こちらは、大熊線2Lの断路器。(断路器82)
これも、上のものと同じ建屋にあります。

奥から3台、同じものが並んでいます。
奥の物と見比べると分かりやすいと思います。
手前の物、碍子破損のせいで左半分が倒壊してしまい、無くなっています。
基部のみ残っているので、揺れに耐えられず折損したと思われます。
そういえば、ここの断路器は新福島変電所のとは違って、斜めの支持碍子が無いですね。


2011年3月23日撮影



2.高圧配電盤〜所内各電源設備の被害

  1・2号共用 3・4号共用 5・6号共用
#1 #2 #1 #2 #1 #2
名称 場所 状態 名称 場所 状態 名称 場所 状態 名称 場所 状態 名称 場所 状態 名称 場所 状態
起動変圧器
STr
STr
(1S)
地上
変圧器
ヤード
?被 STr
(2S)
地上
変圧器
ヤード
?被
碍子等、付属
品に破損あり
STr
(3SA)
地上
変圧器
ヤード
不明
※1
STr
(3SB)
地上
変圧器
ヤード
不明
※1
STr
(5SA)
地上
変圧器
ヤード
STr
(5SB)
地上
変圧器
ヤード
開閉所STr間
ケーブル種
OF
ケーブル
地下 不明
一部確認・良
OF
ケーブル
地下 不明
※1
CV
ケーブル
地下 (工事中) OF
ケーブル
地下 不明 CV
ケーブル
地下 CV
ケーブル
地下
   1号 2号 3号 4号 5号 6号
名称 場所 状態 名称 場所 状態 名称 場所 状態 名称 場所 状態 名称 場所 状態 名称 場所 状態
非常用
ディーゼル
発電機
DG 1A T/B・B1F ×没 DG 2A T/B・B1F ×没 DG 3A T/B・B1F ×没 DG 4A T/B・B1F ×没
(工事中)
DG 5A T/B・B1F ×
(励磁装置水没)
DG 6A C/S・B1F ×
(海水P被水)
DG 1B T/B・B1F ×没 DG 2B
空冷?
共用プール
1F
×
(M/C水没)
DG 3B T/B・B1F ×没 DG 4B
空冷?
共用プール
1F
×
(M/C水没)
DG 5B T/B・B1F ×
(励磁装置水没)
DG 6B
空冷
DG建屋
1F
- - - - - - - - - - - - - - - HPCS
D/G
C/S・B1F ×
(海水P被水)
常用
高圧配電盤
(M/C)
M/C 1S T/B・1F ×被 M/C 2SA M/C2SA
建屋1F
×没 M/C 3SA C/B・B1F ×没 - - - M/C 5SA-1 C/B B1F ×没 - - -
M/C 5SA-2 C/B B1F ×没
- - - M/C 2SB T/B・B1F ×没 M/C 3SB C/B・B1F ×没 - - - M/C 5SB-1 C/B B1F ×没 - - -
M/C 5SB-2 C/B B1F ×没
M/C 1A T/B・1F ×被 M/C 2A T/B・B1F ×没 M/C 3A T/B・B1F ×没 M/C 4A T/B・B1F ×没 M/C 5A C/B B1F ×没 M/C 6A-1 T/B・B1F ×没
M/C 6A-2 T/B・B1F ×没
M/C 1B T/B・1F ×被 M/C 2B T/B・B1F ×没 M/C 3B T/B・B1F ×没 M/C 4B T/B・B1F ×没 M/C 5B C/B B1F ×没 M/C 6B-1 T/B・B1F ×没
M/C 6B-2 T/B・B1F ×没
非常用
高圧配電盤
(M/C)
M/C 1C T/B・1F ×被 M/C 2C T/B・B1F ×没 M/C 3C T/B・B1F ×没 M/C 4C T/B・B1F ×没 M/C 5C T/B・B1F ×没 M/C 6C C/S・B2F ※2
 
M/C 1D T/B・1F ×被 M/C 2D T/B・B1F ×没 M/C 3D T/B・B1F ×没 M/C 4D T/B・B1F ×没 M/C 5D T/B・B1F ×没 M/C 6D C/S・B1F
 
- - - M/C 2E 共用プール
B1F
×没 - - - M/C 4E 共用プール
B1F
×没 - - - HPCS
D/G M/C
C/S・1F ※2
常用
パワーセンター
(P/C)
P/C 1S T/B・1F ×被 - - - - - - - - - P/C 5SA C/B B1F ×被 - - -
- - - - - - P/C 3SA C/B B1F ×没 - - - P/C 5SA-1 T/B・B1F ×被 - - -
- - - P/C 2SB T/B・B1F ×没 P/C 3SB C/B B1F ×没 - - - P/C 5SA-2 C/B B1F ×被 - - -
P/C 1A T/B・1F ×被 P/C 2A T/B・1F ※2
ベース部浸水
P/C 3A T/B・B1F ×没 P/C 4A T/B・1F P/C 5A C/B B1F ×被 P/C 6A-1 T/B・B1F ×被
P/C 2A-1 T/B・B1F ×没 P/C 5A-1 T/B・2F P/C 6A-2 T/B・B1F ×被
P/C 1B T/B・1F ×被 P/C 2B T/B・1F ※2
ベース部浸水
P/C 3B T/B・B1F ×没 P/C 4B T/B・1F P/C 5B C/B B1F ×被 P/C 6B-1 T/B・B1F ×被
P/C 5B-1 T/B・2F P/C 6B-2 T/B・B1F ×被
非常用
パワーセンター
(P/C)
P/C 1C C/B B1F ×没 P/C 2C T/B・1F ※2
ベース部浸水
P/C 3C T/B・B1F ×没 P/C 4C T/B・1F P/C 5C T/B・B1F ×被 P/C 6C C/S・B2F ※2
P/C 1D C/B B1F ×没 P/C 2D T/B・1F ※2
ベース部浸水
P/C 3D T/B・B1F ×没 P/C 4D T/B・1F ※2 P/C 5D T/B・B1F ×被 P/C 6D C/S・B1F
- - - P/C 2E 共用プール
B1F
×没 - - - P/C 4E 共用プール
B1F
×没 - - - P/C 6E DG建屋
B1F
直流125V 125V DC
BUS-1A
C/B B1F ×没 125V DC
DIST CTR
2A
C/B B1F ×没 直流125V
主母線盤
3A
T/B
MB1F
直流125V
主母線盤
4A
C/B B1F ×没 直流125V
主母線盤
5A
T/B
MB1F
125V DC
PLANT
DISTR
CENTER 6A
T/B
MB1F
125V DC
BUS-1B
C/B B1F ×没 125V DC
DIST CTR
2B
C/B B1F ×没 直流125V
主母線盤
3B
T/B
MB1F
直流125V
主母線盤
4B
C/B B1F ×没 直流125V
主母線盤
5B
T/B
MB1F
125V DC
PLANT
DISTR
CENTER 6B
T/B
MB1F
※1
放射線量が高いため、確認が出来ない状態。
※2 ただし、上流(給電元)が使用不可の為、受電不可。
凡例:
名称部分の色分け 黒・・・使用可能  ・・・使用不可能  ・・・不明(未調査・調査不可能など)
名称および場所の略称 T/B・・・タービン建屋  C/B・・・コントロール建屋  C/S・・・原子炉複合建屋  M/C・・・メタルクラッド形クラッチギヤ  DG(D/G)・・・ディーゼル発電機
機器および盤の状態 ○・・・機器使用可能  ×・・・機器使用不可能 / 没・・・水没  被・・・被水
(水没とは、水が溜まっている状態のもの。被水とは、機器等に浸水の形跡が認められたもの。)

原発所内、幹線系統の単結図が出てきました。よく公開したなぁ。まぁ1〜4はもうお払い箱だからいいのか。
一方、今でも内容バラすとヤバい変電所内の結線図は、まるで機密文書のごとく黒塗りのオンパレードでしたが。
(ていうか、基本的にこういうもんは機密文書なんですけどね、テロに利用できるし)

開閉所で受電された所内電源は大抵は66kV以上です。所内の高圧は6.9kVですので、まず「起動変圧器」で6.9kVに降圧されます。
(国産原子炉の場合は、日本で一般的な6.6kVの場合もあるようです。)
まずこれを上流のメタクラへ配ります。そこから子のメタクラやパワーセンターへと配られ、各負荷へと行きます。
(順序としては、「メタクラ」→「パワーセンター」→「コントロールセンター」となります)
母線は、常用と非常用がそれぞれの炉に各2系統以上あり、これらにメタクラがぶら下がっています。
非常用メタクラの母線には、各号機とも2台以上のディーゼル発電機がぶら下がっています。

また、殆どの箇所では、同じ階層の盤(メタクラ・パワーセンター共に)同士が連絡母線で接続されていて、電源供給が多重化されています。

正直、同時に浸水さえしなければ、この施設を停電に追い込むのはほとんど不可能だと思います。
単結図を見れば分かりますが、回線は網の目状になっており、どこか1箇所でも電源が残ってさえいれば、重要箇所を優先し、母線連絡盤を通じて各所に融通することが出来ます。
1号機に、4号機の非常発電機の電気を送る事も想定されているはずです。
試しに、上の図の適当な盤を1箇所を決めて、そこの線を一本切断してみてください。ちゃんと他の経路で送電できるようになってるのが分かりますから。
ただし、こういったシステムは盤が健全であるのが前提です(当たり前だ)。今回は、すべての発電機と、それを連絡しあってる盤がほぼ同時に全滅したのが事の始まりです。
1〜4号機部分で非常発電機が合計8台。それに何重にも線路を付けて、これなら絶対に途切れないはずでした。発電機の容量は公表されていので分かりませんが、このうち2〜3台さえ動作すれば、最低限の電力は賄えるでしょう。

この事態を見るに、全電源が喪失する事に対してはほぼ備えをしていなかったと、どうしても見てしまいます。実際は分かりませんが。
特に、複数の盤が同時に損傷して送電が出来なくなるという考えはあまり無かったのでは、と思ってしまいます。
電源車の接続がうまく行かなかったのも、こういった事態(特に、同時多発的な盤の損傷)に対し備えがされていなかったからでは、と思ってしまう。
一般的な設備なら、ここまで備えろというのは正直酷な話です。ただ原子力発電所では、こういう言い訳は通じないでしょう。

※注
用語解説
 起動変圧器
発電機の起動・停止時および停止中に、所内にある各施設に電力を供給する為の変圧器。
常に発電所の外部から電力を受けている。
運転時、常用高圧母線は所内変圧器(自前の発電機から受電)に切り替えられるが、緊急停止などの万が一の事態に備え、引き続き非常用高圧母線に電力を供給している。

用語解説 所内変圧器
発電機運転時、自前で発電した電気の一部を所内(常用高圧母線)の電源として使用する。発電機からの電気は電圧が高い為、所内変圧器で6.9kVに降圧させ、利用される。
運転を停止すると所内変圧器への供給が絶たれるので、負荷は起動用変圧器側に切り替えられる。
今回発表の写真ではありませんが、参考まで。

これは1号機のタービン建屋にあるメタクラです。
右の盤をよ〜く見ると、うっすら汚れの線が見える気がします。(ハンドルのちょっと上あたり)
リストを見ると、水没ではなく被水となっています。
記者会見で、1号機・メタクラの上段は水没を免れたとコメントがあったので、これについての発言と思われます。


(撮影は2011年5月6日)
こちらも上と同じく1号機のタービン建屋。
こっちはコントロールセンターっぽいです。

上の写真より水位が高かったっぽいですね(情報がないから推測だけど)
柵の汚れからして、大人の鼻の高さまでは水位が上がったのが分かります。
照明は無事なので、天井までは行ってないですね。


(撮影は2011年5月6日)
これは、2号機原子炉建屋の横(南側)です。

真ん中の大きい変圧器は、発電機で発生した電気の電圧を上げる「主変圧器」と思われます。
その左のものが、起動変圧器か所内変圧器だと思います。

起動変圧器は、外部から受電して所内に電源を供給するための重要な変圧器です。
5・6号機は、この変圧器といくつかの盤が被害を免れたため、鉄塔の送電線が復旧した後にはこれらの機器を利用することが出来たので、充分な電源を確保することが出来ました。

この写真の場所の起動変圧器が使用可能かは未判定。
付近の線量が高く、完全な調査が出来ていないとの事。
使うにせよ、整備や修理は必要でしょう。

3・4号のものは爆発による残骸飛散をもろに食らっているので使えないでしょう。
その前に、あの辺りは線量が非常に高いので危険です。


(エアフォートサービス撮影・2011年3月20日)
※画像をトリミングしています
これは、3号機の主変圧器と思われる物。(奥の、ファンが付いてるあたりの塊)
東芝のロゴが見えます。
その横にも他の変圧器が並んでますが、どう見ても使えませんな。
さらに、この付近(写真の真ん中あたりの、地面の残骸)に1000mSv/hを発するガレキがあり、迂闊に近寄れません。


(撮影は2011年5月21日)
各変圧器の役目。
(一例)

原子力発電所の運転/停止時における、変圧器の扱いの解説がありますので、参考にどうぞ。
BWRの起動・停止方法 - ATOMICA 高度情報科学技術研究機構

基本的には、
運転中・・・常用回線は、自分の発電した電気から賄う。非常用回線は、外部から受電。
停止中・起動中・停止操作中・・・常用・非常用回線ともに外部から受電。

起動変圧器とは、外部から受電した特別高圧を高圧に落とす変圧器、
所内変圧器は、発電機から出た特別高圧を高圧に落とす変圧器
という事ですね。
起動変圧器の代わりに予備変圧器が設置されている場合もあります。
九州電力・玄海原子力発電所の外部電源増強に関する資料より。

玄海及び川内原子力発電所の外部電源の信頼性確保に係る実施状況報告について
九州電力プレスリリース

基本的には、どこもこんな感じです。
常用回線は基本的には自分で発電した電気を使い、起動時や停止時、また運転中も緊急停止などが発生した際などに即対応できるように、起動変圧器(に接続されている非常用回線)は外部から受電しっぱなしというのが基本です。
(写真は、表記のないものは全て東京電力公開)

2011.06.04追記

D/G起動・停止の時系列
出典:福島第一原子力発電所内外の電気設備の被害状況等に係る記録に関する報告を踏まえた対応について(指示)に対する報告について

  スクラム時刻
(参考)
発電機起動
電圧確立
電源喪失
(発電機停止又は従関係のM/C電源喪失時刻)
地震〜津波襲来まで
原子炉 D/G No. M/Cの状態 P/Cの状態 DCC125V
1号機 A 14:46 14:47 15:37?記録装置のデータは15:17まで ○(M/C 1C)
B 14:47 15:37?記録装置のデータは15:17まで ○(M/C 1D)
2号機 A 14:47 14:48 15:37(従関係のM/C 2C電源喪失) ○(M/C 2C)
B 14:48 15:40(従関係のM/C 2D・2E電源喪失) ○(M/C 2D・E)
3号機 A 14:47 14:48 15:38 ○(M/C 3C)
B 14:48 15:38 ○(M/C 3D)
4号機 A 定検停止中 記録装置停止中
(装置取替中)
記録装置停止中
当直長引継日誌では、15:38所内電源喪失
中央制御室へ信号が伝送されている為
非常電源は稼働していたと推測。
B
5号機 A 定検停止中 14:49 15:39 ○(M/C 5C)
B 14:48 15:40 ○(M/C 5D)
6号機 A 定検停止中 14:49 15:40(従関係のM/C 6C電源喪失) ○(M/C 6C)
B 14:48 被害無し。運転継続 ○(M/C 6D)
HPCS DG 14:49 15:40 ○(HPCS D/G)


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